いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――香也、お前…何を知ってる?俺とお前と…晴の持つ力のことで」

先に口を開いたのは陸だ。

確かに、香也が全ての事情を把握しているような素振りを見せたのはかなり気掛かりであった。

「…訊いて、俺が素直に答えると?」

本人の言う通り、元々毛嫌いしている陸に対し香也が助言するなど考えられない。

「香也…頼む、こればかりは俺だけじゃどうにもならない」

しかし、陸も自身を見下す香也に少なからず嫌悪感を抱いていた筈だが反論はせず更に食い下がる。

「ふん、お前が俺に頼み事とはな」

「…晴のためなら、俺は何だってするよ」

陸から真っ直ぐに見据えられ、香也は少し億劫そうに髪を掻き上げた。

「…なら一つだけ教えてやるよ。“為来(しき)たり好きの獅道と型破り好きの霊奈”ってな」

「獅道…?じゃあやっぱり、お前は冬霞の国の…」

「さて。意味は自分で考えろよ」

「……ああ」

正直、それだけでは抽象的過ぎて良く解らないと思ったが、陸はそれ以上は訊いても無駄だと察したのか何も言わなかった。

「ちょっと待て、香也…!お前が姉ちゃんをやたら気に掛けてたのも、その話と関係あんのか?」

「さあ…どうだかな」

曖昧な返答を残して、香也の姿は前触れもなく掻き消えた。
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