いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「………」

陸は黙ったまま、香也が立っていた場所をじっと見据えている。

「……、…風弓」

が、こちらには振り向かず不意に沈黙を破った。

「ごめん」

「は…」

唐突に謝罪を口にされ、何のことかと当惑する。

「俺はいつも、肝心なときに晴の傍にいないんだよ。俺が守るって決めたのに、お前に傍にいてくれって言われたのに…」

「陸」

「前に言われた通り、俺のせいだよな。俺が炎夏に逃げなければ、俺が関わらなければ晴をこんなに苦しませずに済んだのに。…晴を守るために充さんがしてきたことを、俺が全部駄目にしたんだ」

…そうだ。

父が何のためにこんな手の込んだことを仕組んだのか、自分は全部知っている。

――全ては、晴海の命を守るためだった。

「…姉ちゃんが小さい頃、心臓が弱かったことは知ってんのか?」

「……十年前父さんから聞いた。そのために充さんが、晴を連れてうちに来たんだろ」

「…ああ」

あの能力は、生まれつき弱かった姉の心臓には負担が大き過ぎた。

だから力を抑えるために、色々と模索した父は霊媒師として名高い春雷の領主を頼ったのだ。
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