いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「!それは…」

風弓の手にした真珠を目にした瞬間、陸は眼を見開いた。

「多分、あいつに無理矢理腕を掴まれた弾みで紐が千切れたんだな…あの野郎、姉ちゃんが昔っから大事にしてるものまで壊しやがって…っ」

そして、苦々しげな面立ちで散り散りになった真珠を拾い集める。

「俺が晴を悲しませたから、かな…」

「…は?」

「俺、晴にとても酷いことをしたんだ。それで晴のことを泣かせてしまった」

真珠を一通り拾い終えると、陸はかくんと項垂れた。

「やっぱり、すぐに迎えに来れば良かった。馬鹿だな、俺は」

「なに、を…」

何を言ってる――そう口にし掛けた瞬間、晴海がこの真珠の飾りをいつから腕にしているのか、ふと思い出した。

十年前に春雷から帰ってきたときから、姉は腕につけたそれを大事そうに眺めていたのだ。

『ねえちゃん、それ、どうしたんだ?』

『わかんない……けど、だいじにしなきゃいけないの』

自身が春雷に行ったこと、能力者であること、水を異常に怖がるようになった理由。

戻ってきた姉は、自身の持つ能力に纏(まつ)わる全ての記憶を失っていた。

腕輪の贈り主のことも、例外ではなかった筈だが晴海はその言葉の通り、いつでもそれを身に着けて大切にしていた。

「…お前、だったのか」
< 185 / 331 >

この作品をシェア

pagetop