いとしいこどもたちに祝福を【後編】
――病院の後片付けを済ませ、陸は晴海と風弓を連れて邸へ戻ってきた。

既に見合い相手の令嬢たちの姿はなく、どうも京が上手く説得して帰してくれたらしかった。

「うん…大体の事情は解ったけどさあ。何で陸のほっぺたが腫れてんの?」

病院で合流した夕夏に説明を終えるや否やそう問われ、陸は風弓と顔を見合わせる。

「これは…俺が風弓に頼んだんだ。俺が不甲斐ないせいで、こんなことになったから」

「いや、俺は最初断ったんだけど陸がどうしてもって言うし…折角だから、結構思いっ切り」

次の瞬間、夕夏の拳が二人の鳩尾に直撃した。

「「ぐはっ!!」」

「君たち馬鹿じゃない?そんなの晴海が見たら悲しむじゃないか」

痛みにのたうつ陸と風弓を見下し…見下ろしながら、夕夏は呆れたように盛大な溜め息をついた。

「まあまあ、夕夏ちゃん。そのくらいにしてやって」

「京さん」

二人の反応次第ではもう一撃食らわせる気でいたらしい夕夏は、京に制されて構えていた拳を解いた。

((助かった))

安堵で胸を撫で下ろしながら、ふとあることを思い出す。

「…兄さん、そういえば真都は?」

「うん?まあ、当分変な気は起こさないだろうね」

恐ろしく爽やかな笑顔でさらりと言い放つ京に、ぞわりと背筋が凍るような思いがした。
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