いとしいこどもたちに祝福を【後編】
(…!)

まずい、やはり見付かっていたのか。

こちらの声は届かないにも関わらず咄嗟に謝罪の言葉を口にしようとしたが、先程とは打って変わって勢いのない兄の眼を目の当たりにして陸は思わず絶句した。

「…っにい、さ……」

『除け者にしたのは悪かったよ。ちゃんと説明するから…下まで降りてきなさい』

「…はい」

陸は弱々しく返事をして霊視を解くと、京の待つ部屋へと急いだ。



だが兄は応接室の扉を開けるや否や「どこから、聴いてた?」と満面の笑顔で訊ねてきた。

「ひいっ」

やはりやめておけば良かった、と思うくらい物凄く怖い。

が、今更言い逃れも出来ないため陸は意を決して口を開いた。

「っ、…兄さんが父さんの病状を輝琉に話してる辺りから…」

すると京は片手で顔を覆いながら短く溜め息をついた。

「殆ど最初のほうからじゃないか。困ったな、やり方を教わってもいないのにあんな上手く隠れてたなんて」

「?あれ…兄さん、最初から気付いてたんじゃないの?」

「いや、全然。お前、途中で酷く動揺しただろ?あの辺りで気配が濃くなったから気付いたんだ」

しまった…恐らく戦争の話が出た前後辺りだ。
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