いとしいこどもたちに祝福を【後編】
未だ幼児扱いされていることにどう反応を示せば良いものか、言葉に窮して俯くと、陸は突然慌てたように素早く晴海から身を離した。

「…!ご、ごめんっ、つい今までみたいに抱き寄せちゃったけど…俺、晴のこと無理矢理押し倒して泣かせた癖に」

「あ……あのときの、こと…?」

あのことはもう謝ってくれたではないか――

それに未遂で踏み留まってくれたことや、朧気ながら残っている幼児退行時の記憶の中で陸はずっと優しかったことも相俟って、あのときの恐怖心はすっかり和らいでいた。

しかし陸にとってあのときの罪悪感は、簡単には払拭出来ない蟠(わだかま)りとして残ってしまったのか。

それなら――

「りく」

「え」

晴海は陸の首に両腕を絡めて思い切り抱き付くと、その勢いに任せて少々強引に唇へ口付けた。

「ん…っ」

こちらの唐突な行動に陸は面食らった表情で目を瞬いて、そのままふらついて後方に尻餅をつく。

陸が支えてくれたので晴海は然して痛くなかったが、陸は大丈夫なのだろうか。

だが当の本人はそれどころではなさそうな様子で、眼を見開いて頬を真っ赤に染めていた。

「っ…はる…!?い、今の…」

「…私も陸のこと、押し倒しちゃった。今のでおあいこ、で…いいでしょ?」

「…!!は…はるが、それで許してくれるならそれでいいけどっ…」

陸は恥ずかしそうに口元を押さえながら、かくんと項垂れてしまった。
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