いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――…全く、世話が焼けるな。お前らときたら」

「!」

突如頭上から降ってきた呆れ声に、晴海と陸は同時に声の聞こえた方向を振り向いた。

「よう、いちゃついてるとこ悪いが邪魔するぜ」

視線の先に薄茶髪の青年の姿を認めると、陸は晴海を庇うように立ち塞がった。

「香也…!父さんの張った結界はまだ保ってる筈なのに、どうしてまた此処にっ…」

「術者の影響か、その結界が随分弱ってるからな。お前の兄貴が補強してるようだが、綻びを突いて入り込むなら簡単だぜ。まあ、意識がないのに結界を持続させてる辺りは流石だが…寧ろそのせいで回復が遅れてるんじゃないか?」

父のことを言及され、陸は少し落ち込むように視線を落とした。

しかし周の結界を掻い潜って――ならば、あのとき夢を通して呼び掛けてくれたのは、やはり――

「香也、貴方…私がちゃんと私の気持ちと向き合えるように、してくれた…よね?」

「…!そうなのか、香也」

陸が少し驚いたように顔を上げると、香也は肩を竦めながら首を傾げた。

「どうかな。俺は陸なんかやめて俺に乗り換えろって話をしただけだがなあ」

軽口を叩くように笑うが、香也はあのとき“このままでは陸の足手纏いになって傍にいられなくなってしまう”と忠告してくれた。

素っ気ない言い回しは、彼なりの照れ隠しなのだろうか。

「…貴方は、優しい人なんだね」

「そう思ってくれるなら、今からでも俺に乗り換えないか?晴海」

「えっ」
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