いとしいこどもたちに祝福を【後編】
つまり自分には絶大な力を使うことと引き換えに、命を落としかねない代償が付き纏っている。

光魔法による持病の治療が出来ないかという話も挙がったが、治癒魔法にはその症状を和らげることは可能でも病そのものを消し去ることは出来ない。

傷を塞ぐことは出来ても、負傷による後遺症が残ってしまうのと同じだ。

「それなら話は簡単だな。晴海が力を使わずに済むようお前と俺でどうにかすればいいだけだ」

「どうにか、って…」

あまりに漠然とした言い分をさらりと言ってのける香也に当惑した晴海は陸を振り返ったが、陸は小さく頷くと自分に言い聞かせるように呟いた。

「…俺はお前のこと、信じていいんだよな」

「今更だな。言った筈だぞ、俺は晴海のためならお前とだって協力する」

「……香也」

不意に彼の名を呼ぶと、香也は少々驚いたようにこちらを振り返った。

「ごめんなさい、私は…貴方のことをまだ完全には信じられない」

「晴」

これまで――たとえ月虹の人間をも欺くためだったとしても――香也が容赦なく陸や京を傷付ける姿を目にしてきた。

それに、香也は目の前に現れる度に自分の心を大きく揺さぶるような言葉を投げ掛けてきた。

「私には…貴方の本心がまだ見えない」

それらの行動は、結果的に陸や自分を助けるためだった…と理由を後付けすることは、いくらだって出来る。

「…だろうな。お前がそのくらい用心深いほうが、守る側としても安心する」

香也はいつものように笑って見せたが、こちらを見つめる菫色の眼差しは少し寂しげに見えた。
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