いとしいこどもたちに祝福を【後編】
その表情にどきりとして、晴海は少し戸惑いつつも相手を見つめ返した。

「だけど、貴方が…私のために陸と協力してくれたことや、私に記憶を取り戻すよう呼び掛けてくれたことも、私は知ってる。だから…私も貴方を信じたい」

「…なら俺はそのご期待に応えられるよう、自分の役目を誠心誠意務めさせて頂くよ、お姫様」

茶化すような言い回しでくすりと笑う表情は、今まで見てきた香也のもので、心なしか安堵感を覚える。

「香也はこの後、また月虹に戻るんでしょう?…私は“私の為に”を理由に、誰かが危険な目に遭うのは嫌…だから貴方も、あまり無茶はしないで」

「…ああ。善処する」

「それから…もうひとつ貴方に訊きたいことがあるの」

「何だ?」

「私の…父さんの行方。貴方は知ってるんじゃないの?」

「……才臥の居場所、か。難しいな」

香也は小さく溜め息を落とすと、考え込むように俯いた。

「俺は自ら月虹に協力することと引き換えに、自由に施設の外へ出入りすることを許されてるがな…逆に施設内には、職員以外の立ち入りを禁じられた俺にも入れない部屋が幾つかあるんだよ」

「…!」

「もしお前らが言うように才臥が生存してるなら、その辺りに身柄を置かれてる可能性はありそうだがな」

「…香也、無理を承知で頼みたいんだが…充さんの居場所を探してみてくれないか?如月はもしかしたら、お前が言ってた新しい研究に充さんに協力させる気かも知れない」

やはり月虹が父を生かしておく理由となるのは、それか――

「…余り期待するなよ?さっき言ったように俺の行動範囲にも限りがある」

「ああ…」
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