いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「そうかな、何だか俺は仲良くなれそうな気がしてきたけど?」

対する陸は先程とは打って変わり屈託なく笑った。

もしも出逢い方が架々見の陰謀や一族同士の対立とは全く関わらない平穏なものだったら――二人は友人になれただろうか。

「あ、それから香也」

「今度は何だ」

「…お前が晴を気に掛けるのは、守護者としてか?…それとも異性として?」

「!」

ふと神妙な面持ちに立ち戻った陸とは反対に、今度は香也がさも可笑しなことを訊かれたかのように吹き出した。

「そんなこと訊いてどうする。…ああ。お前、春雷襲撃のとき俺が晴海にしたこと、まだ気にしてるのか」

「っ…未だに内心穏やかじゃないけどな」

あのとき、晴海が香也の魔法で動きを封じられ抵抗出来なかったことは陸も解っている。

陸の動揺を誘うために、香也はあんなことをしたのだろうとも。

しかし晴海自身、香也が時折浮かべる優しげな眼差しや掛けてくれる言葉の真意は気に掛かっていた。

「…ふん、うかうかしてるとまた掻っ拐うぞ」

「なっ…」

陸を嘲笑う香也の言葉に、以前邸から連れ去られたことを思い返してどきりとする。

「まあ、晴海は今のところお前のことしか見てないからな。それを無理矢理傍に置いても面白くない。お前から俺に靡(なび)くよう色々ちょっかいは出すが、晴海の意思を蔑ろにはしないさ」

「成程、話を聞いた限りは至極立派な考えだな。何処かのしつこい黒髪やら空気の読めない金髪に、聴かせてやりたいくらいだ…ってそんなこと言ってお前、前科がある癖に」
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