君想歌
店を後にするが行くあても無い。


降り続ける雨に気持ちが滅入る。


目的も無いまま、ただ歩く。


無意識に辿り着いた場所は
栄太郎と出会った鴨川。


「流石に来てないよなぁ」


昨日並んで話をした所を
見つめぽつりと呟いた和泉は
濁った川に目を移す。


「俺もそう思ったけど、
和泉が泣いてる気がしてね……」

ぱしゃんっと足音が止まり、
足元に影が落ちた。


「栄太…郎……」


何で来るのよ。

もう会わないって決めたって
矢先に。

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