君想歌
一頻り笑うと吉田は手を伸ばし
和泉の髪紐をほどく。


結い方が簡単な為、
肩を髪は滑り落ちる。


「また髪紐取るぅ……」


和泉の髪を嬉しそうに触る
吉田から髪紐を取り返そうと
手を伸ばす。


だが膝の上に吉田が居るから
行動範囲は必然的に狭くなる。

「なんで折角結んでるのに
ほどくの?」

不満を露にして問えば
吉田の人差し指が唇を押さえた。


「理由、教えてあげようか?」


吉田は和泉の膝に座ると
耳元に顔を近付ける。


「和泉、警戒しないと駄目だよ。
俺が信用できても男なんだから」

吉田は口角を上げ和泉の唇を
なぞる。


「二人なんだから良いでしょ?
たまには和泉から口付けしてよ」

吉田からの注文は和泉にとって
恥ずかしい物ばかりだ。

いや恐らく和泉で無くとも
そうだろう。

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