君想歌
*儚*
花は散って葉が目立ち始めた
桜の木。

その頃屯所内は、というと。


月が変わったのを境に動きを
ぱったりと見せなくなった
長州勢に逆に混乱が募っていた。


土方の命令により集められた
幹部たちは広間へと集まった。

「俺が最後か?すまないな」

一番最後に広間に現れた近藤は
既に揃った皆の顔を見回す。


局長の近藤が上座へと座ると
土方が口火を切る。


「今日集まってもらったのは
他でもない。
長州勢の動きが此処んとこ
消えた理由だ。
とりあえず町の様子はどうか。
何か気付いた事はあるか?
総司!!欠伸すんなっ」


ぱしんっと土方は側に置かれた
書類で沖田の頭を叩く。


「痛いですね……。
別に変わった事はありませんよ」

ねえ?と隣に正座をする和泉に
頭を擦りながら同意を求める。


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