君想歌
引き続き警戒を怠らないよう、と近藤の声に揃って立ち上がる。


土方に叩かれたにも関わらず
すっかり夢の中の沖田は
放っておく方向らしい。


「和泉、ちょっと来やがれ」

部屋を出た和泉を廊下で
土方が呼び止める。


溜め息を吐き土方の後ろを
着いていった。


日の当たる土方の部屋の前の
縁側に腰を下ろす。

部屋の中は山のような書類で
散らかって、とても和泉が
入れる状況では無いらしい。


「お前、おかしいぞ」

土方の第一声にジト目で睨む。

「女に言うなんて酷い言葉だな」

和泉の言い返しに違えよ……と
額を小突く。


「何があった」

「別に」

「んな訳ねぇだろ」

間髪入れず飛んだ土方の返事に
面倒臭そうな表情をする。


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