君想歌
あらかじめ淹れておいた
お茶が入った湯飲みを
巡察前に冷やしておいた。


暑さに負けて沖田と並んで
畳に寝転がっていると藤堂が
顔を見せた。


「和泉と総司じゃん」


手拭いを首に掛けた藤堂は
うんざりした顔をしている。


「暑っいな〜」

団扇で扇ぎながら空を見上げる。


京の夏は江戸とは若干
違うと聞いた。


京育ちの和泉でさえ夏になれば
何もする気が起きなくなる。


「平助、着物着てください」

「嫌。暑い」


稽古終わりの藤堂は水を被り
上半身の着物を脱いでいる。


和泉が居るというのに気にせず
そのままで居る藤堂を沖田が
文句を言った。


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