君想歌
明里の反応は和泉が思うのと
違うものだった。


「言い方悪いけど、許してな?
土方はんが和泉を捨てるのは
絶対に無い。
だって、優しいもん土方はん。
行くとこ無い和泉を放ったり
絶対にしない」


明里の言葉には別の意味も
含まれていた。


土方を信じていないのか、と。

刀を使えた、使えないを
別として。


思い返せば池田屋の一件は
土方の采配で知られていない
部分もある。


「土方はんに言うてみたら?」


かなり勇気もいるが。

『一人で抱えないで』

稔麿の言った言葉が脳裏を過る。


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