灯りの無い町、不恰好な握り飯、
刀を差した侍、月が照らす道。

出会いは、そんなもの。




『───寂しいってなぁに?』



愛情を知らずに育った少女

時折 梓
─Tokiori Azusa─



『今日が君の生まれた日だ』


『…おかえり』


『じゃあ僕達の屯所(家)まで競争!』



けれどそこにあったもの。

それは“過去”では知れなかった、
ごくありふれた幸せ─愛情─だった。







『笑ってくれ、トシ。…俺は鬼にはなりきれんよ』



少女を拾った男は、
そう言いながらも嬉しそうだった。



『俺からすりゃあ近藤さん。
あんたが一番の鬼だぜ』



俺達自身があいつの手を離さなくては
ならない日が来るというのに、

それでもあいつに愛情を
教えてしまったのは近藤さんだ。


それを選んだのはあんただ。



───そんなの立派な鬼だろう、近藤さん。



“時として愛情は、哀しみを連れてくる”







彼等と交わした約束はいつだって
やさしくて 、 あたたかくて

そして



『───…幸せになれ。』



哀しいほどに、綺麗だった。



浅葱色の約束。




※理人の初作品、命を吹き込みました。

歴史に忠実ではございません。
年月、方言に差異があります。

それら諸々含んだ上、暖かい目で
ご覧になっていただけますと幸いです。



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