灯りの無い町、不恰好な握り飯、
刀を差した侍、月が照らす道。
出会いは、そんなもの。
『───寂しいってなぁに?』
愛情を知らずに育った少女
時折 梓
─Tokiori Azusa─
『今日が君の生まれた日だ』
『…おかえり』
『じゃあ僕達の家まで競争!』
けれどそこにあったもの。
それは“過去”では知れなかった、
ごくありふれた幸せ─愛情─だった。
*
『笑ってくれ、トシ。…俺は鬼にはなりきれんよ』
少女を拾った男は、
そう言いながらも嬉しそうだった。
『俺からすりゃあ近藤さん。
あんたが一番の鬼だぜ』
“時として愛情は、哀しみを連れてくる”
*
彼等と交わした約束はいつだって
やさしくて 、 あたたかくて
そして
『───…幸せになれ。』
哀しいほどに、綺麗だった。
浅葱色の約束。
*
*
※理人の原点です。
歴史に沿っているようで忠実ではございません。
年月、方言に差異があります。
それら諸々含んだ上、暖かい目で
ご覧になっていただけますと幸いです。