「夫婦として過ごすつもりはない」

夫となった男性は、どこまでも冷淡な視線で私を見下ろしながらそう告げた。


三橋 優(みつはし ゆう) 22歳
三橋製薬社長の愛人の子

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緒方 一矢(おがた いちや) 34歳
緒方総合病院の次期院長



〝愛人の子〟

それは、生まれた瞬間から私について回った言葉だった。


悔しい思いをたくさんした。
父を恨みもした。

けれど……

私と母の存在が本妻やその子を苦しめてきたのも事実だと、虐げられる現状を甘んじて受け入れてきた。



我慢の上になんとか成り立った平穏な日々は、父の突然の命令で終わりを迎えた。



「お前には緒方総合病院の次期院長である、緒方一矢と結婚してもらう」



本来の相手は、本妻の子である陽(よう)だった。
けれど、彼女は好きな男を追って家を出てしまった。


私たち母娘は、逆らうことができない。

相手の男性が、どんなに私を疎ましく思っていたとしても……。



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