君に近づく物語
『ねぇ、いい加減俺のこと好きになってよ?』

いつもの僕の告白と。

『じゃあ、好きにさせてみてよ?』

君の毎回同じ答え。

にこっと笑うその笑顔には曇りはなくて、まっすぐに僕を射抜く。

“好き”って言葉だけじゃ足りなくて。

君に少しでも近づきたくて。

触れたくて。

僕は思わず太陽に手を伸ばしたんだ。

君に触れる。

ふわふわとした長い茶色の髪に、

なめらかなさわり心地の頬に、

そっと、触れる。

僕にされるがままの君は目を閉じる。

それがあまりに無防備だから。

気づいたら、僕は君の柔らかなその唇に自分のそれを押し付けていた。

触れるだけの、一瞬。

離れた瞬間、君と目が合う。

『恋に落ちそう?』

僕は意地悪く尋ねる。

『もう一度、キスしてみればわかるかもよ?///』

真っ赤な顔して君がそういうものだから、僕はおかしくて、うれしくて。

僕の精一杯の“大好き”を伝えたくて。

さっきよりも長く、深く、そしてやさしく僕は君に口づけた。


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