社内恋愛なんて
リップサービスだと自分に言い聞かせるけれど、部長はリップサービスが言えるようなキャラじゃない。


真っ赤になった耳が脳裏に焼き付いて、もしかしたら本気で言ってくれたのかもしれないと思って、胸がドキドキしてきた。


 でも、やっぱりまだ私たちは付き合ったばかり。


これから先のことなんて分からない。


……結婚、か。


自分にはもう縁のないような話だったのに、恋人ができた途端に現実味が増した。


部長と結婚したらどんな生活が待っているんだろう。


思わずニヤニヤしながら妄想してしまう。


 このまま順調に付き合っていって、いつか結婚できたらいいな。


部長が結婚したいって思えるような女性になりたい。


 沈んでいた気持ちは、もう上がっていた。


皆にはバレちゃったけど、おかげで部長から嬉しい言葉が聞けた。


それだけで全てが帳消しにできちゃうほど、幸せな気分だった。


よし、仕事頑張ろう。


プレゼンルームを出て、私もオフィスに向かった。
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