御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「西条さま、今日はどのようなものをお探しですか」
控えめに、けれどブランドイメージを全身で表現するかのような、完璧ともいえる接客態度の彼女を前に、怜人さまは笑顔で私の肩を引き寄せる。
「彼女に何着か用意していただけますか?華やかなものからシックなものまで、TPOに合った服をそろえたい。靴と小物も合わせて、何組かお願いします」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の目が爛々と輝く。
「かしこまりました。ではお嬢様、どうぞこちらへ」
すでにビジネスモードに切り替わった彼女に丁重に扱われ、私は試着室へ向かった。
怜人さまの見立ても含めて何着かの洋服を試着し、ようやくこれで終わりとほっとした時、怜人さまが最後の一着をもって私のそばにやってきた。
「理咲、最後にこれを着てみて」
そう言って手渡されたドレスに、思わず目を奪われる。まるで真紅の薔薇のようなドレスは、見るからに高級なシルクの光沢を放っている。
「今夜のパーティにどうかと思って」
「さすが西条さま、お目が高い……。今、私共が一番注目しております、新進デザイナーの作品なんですよ。まだ日本には数点しか入っておりません」
赤と言っても深みのある色合いのため派手な印象はないが、高貴でありながら洗練されたデザインは思わず目を奪われるような端正さだ。