御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
『あの、怜人さまにご用なら、今パーティ会場の方に』
『あいにくこんな場所で軽々しくできる話じゃないの。とても個人的なことよ。だけどあなたには言っておくわね。私、フィルと結婚したいの。それで私の父がフィルのお父様に正式に申し込んでくれることになって。フィルが了承してくれれば、年末の休暇には具体的なことを決めるつもりよ』
『えっ……』
突然の話に、頭がうまく反応できない。怜人さまが結婚?レイチェルさんと……?
『別に驚くことないでしょ。私の父とフィルのお父様は、パブリックスクールからの同級生なの。家柄だって、あなたよりはフィルに相応しいと思うわ』
怜人さまの通っていたパブリックスクールは、その手の情報にあまり詳しくない私でも知っている、英国一の名門校だ。
そういった学校には、代々、名門といわれる家系の男の人が通うものだと聞いたことがある。
となると、怜人さまと同じ学校に通っていたハリーの家も、それ相応の家柄なのは当たり前のことで……。
『フィルに優しくされるからって、あまりいい気にならないでちょうだい。フィルがあなたに優しくしているのは、あなたがかわいそうな子だからでしょ?昔から慈悲深くて、哀れな人をみると放っておけない人なの』
かわいそうな子、と言ったレイチェルの真っ赤なくちびるが意地悪く引き上げられ、その眼差しには、あからさまな侮蔑が浮かんでいる。