御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「だけどあなたは、普通の立場の人じゃないでしょう。姉との恋愛だって、日本にいる間だけの関係なんじゃないですか。大体、ご家族の反対とか……結婚なんて絶対無理なんだろうし」
鬼の首を取ったように言い放つ陸。その言葉に、私の心もひやりと冷たくなった。
ご家族の反対……。大好きな怜人さまと一緒にいられることが幸せで考えが及ばなかったけれど、確かに陸の言うとおりかもしれない。
日本にいる間だけの恋人……。
だけどそれでもいい。少しの間だけでも、怜人さまといられるなら。
勝気な眼差しを向ける陸に、怜人さまも少々強すぎる視線を向ける。瞳の色がああなだけに、見たこともないクールすぎる表情だ。
「確かに僕には、普通の人よりも背負っているものがたくさんある。でも、どうして君に『絶対無理』なんて言われなくちゃいけないのかな。僕のことは僕が決める。他の誰にも決定権はないよ。例え君や僕の父であってもね。……僕を自由に動かせる人がいるとしたら、それは唯一、理咲だけだ」
そう言った怜人さまの眼差しが優しく私に注がれる。それだけで心拍数が上がるのだから、私はなんてたやすい女なのだろう。
一方の陸は、怜人さまが放つあまりの迫力に完全に圧倒されている。しばしぼうっと怜人さまを見つめたあと、ハッと我に返って、今度は私に視線を向けた。
「姉ちゃんはどうなんだよ。西条さんが普通の人じゃないってちゃんと分かってる?」
「あ、あの……」