御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
ハッとして顔を上げると、大好きな青い瞳がこちらを見つめている。
問いかけるような、懇願するような。そのちょっと切なげな眼差しを受けて、愛しい気持ちがこみ上げてくる。
「……好きなの」
「はっ?」
「私、怜人が好きなの。だから、もしも怜人と結婚できないとしても、今だけでもそばにいたい」
その言葉に、陸に怒りの表情が浮かんだ。
「だから、そういう安易な考えだからダメだって言ってんだろ」
「安易じゃないよ。本気で怜人のこと好きなの。……これって、愛してるってことだと思う。
『愛してる』という言葉を発した私に、陸は一瞬あっけにとられたあと、顔を真っ赤にする。
「あ、愛してるとか……ふ、ふつうそういうの人前で……」
「僕だって理咲を愛してる」
「はぁっ!?」
動揺してうろたえる陸をものともせず、怜人さまが不意に立ちあがり、私に歩みよって手を伸ばした。
そして手の甲で愛おしそうに頬を撫でる。
視線を返すと瞳だけで微笑まれ、何も言わなくても怜人さまの心とつながっている気がして、胸がいっぱいになった。
そんな私たちを見ていた陸が、不意に脱力して椅子にもたれる。
「あー……。こんなの、ただのバカップルじゃん……」
「陸ったら、そんな言い方……」
「いや、陸くんの言うとおりだ。理咲の前では、僕はただの男にすぎない。愛しい人の愛を懇願する、ひとりの男……」