御曹司は身代わり秘書を溺愛しています



「陸くん、君はあと一年で卒業だそうだが、今後のプランは立ててあるのかな。つまり、卒業後の進路や、学費の問題はどうクリアするつもりなんだ」


「何とか、アルバイトも増やして……。あとは母や姉たちに頼りっぱなしなので、それは本当に申し訳ないんですけど」


「無理してアルバイトなんて絶対ダメよ!それでなくても、寝ることもままならないくらい忙しいんだから」


そう言って間に入ると怜人さまに「理咲は大人しくしててと言ったはずですよ」とやんわり釘を刺され、しゅんとして口をつぐむ。


「君は、お姉さんがお金を稼ぐためにどんな危険なことをしようとしたか知ってるのか」

「危険て……。いったい何したんですか」


怜人さまのただならぬ口調に、陸も緊迫した表情を浮かべる。


「彼女は知り合ったばかりの女性の口車にのり、見知らぬ男性の秘書兼身代わりの婚約者になると、簡単に契約書にサインしたんだよ」


「えっ」


「どんな人間か分からない男と行動を共にし、時には無理やり食事にも付き合わされた。その対価として給料を得ようとしたんだ。自分のためじゃない。君の学費のためにね」

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