御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


「な、なんだと……」


激昂した様子の京極氏は、怒りのあまり青ざめた表情を可憐さんに向ける。

そのあまりの恐ろしさに、身の危険を感じた可憐さんが立ち上がった。


「お前ってやつはっ……どれほど家名に傷をつけたら気が済むんだ……っ」


立ち上がり、可憐さんに歩み寄った京極氏が手を振り上げる。危ないと思った瞬間、体が勝手に動いていた。

可憐さんとの間に割って入った私の頬に、鋭い痛みが走る。想像以上に強い衝撃で、そのまま床に倒れ込んだ。


「な、なんなんだ、君は……」


娘に手を上げたはずの京極氏は、動揺の余り呆然としている。

瞬時に駆け寄った怜人さまに抱き起され肩を抱かれたが、私はその手からするりと逃れた。

視線すら合わせない私に、顔を見なくても怜人さまが困惑しているのが伝わってくる。

けれど、この腕の中にいることはもうできない。そうはっきりと感じていた。


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