御曹司は身代わり秘書を溺愛しています




可憐さんは澄んだ目で私を見ている。

今回のことは、怜人さまは何も知らなかったことにしたい。そう心で訴える私に、彼女がかすかにうなずいて見せた。そして父親に向かって、強い視線を向ける。


「本当だよ。偶然出会った理咲ちゃんがお金に困ってることを知って、そこに付け込んだの。……どうせ西条さんだって乗り気の縁談じゃなかったし、だけどお父さんが大臣のコネまで使うもんだから、きっと断るのに困ると思ってさ。だけどダメじゃん、西条さん理咲ちゃんにメロメロって感じ。それじゃ、嫌われて断られるってシナリオ、全く失敗」


「CEOは本気じゃないよ。きっと日本の女の子が物珍しかっただけで」


精いっぱい強気な態度で可憐さんに笑顔を向けると、次に優雅に座ったままのウィリアム氏に向かって淡々と告げる。


「そういう訳なので、私はこれで失礼していいですか。お金が欲しくてやっただけのことですから。正直、セレブな人たちのやることって全然理解できない。……あなたも、可憐さんのお腹の赤ちゃんは血のつながったお孫さんだって分かってますか」


最後に京極氏を一瞥すると、私はそのまま応接室をあとにした。















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