御曹司は身代わり秘書を溺愛しています

それでも、彼を守るためならなんだってできるという気持ちが、私を奮い立たせる。


「怜人、晩御飯はもう食べましたか?」

「そんなもの、どうだっていい。それより、六車さんとどこかへ行っていたでしょう。まさか父に何か言われたんじゃ……。でも心配しないでください。今日、父と話しました。あなたとの結婚をどうしても許さないというのなら、僕は家を捨てる覚悟だとね。僕は本国では少しは名の通ったファンドマネージャーなんです。その気になればどこでだって、あなたひとりくらい食べさせることはできます」


その言葉に、さっきウィリアム氏が『あなたのために、フィルは家も会社も捨てるつもりです』と言ったことが、本当なのだと思い知る。

怜人さまの真剣な想いに、今にも崩れ落ちそうな気持ちを何とか堪え、私はなんでもないように言った。


「怜人、私、とてもお腹が空きました。オフィスを飛び出してから、何にも食べていないんですよ。だから夕食の買い物もしてきました。すぐにできるものを作るので、ちょっと待っててくださいね」


< 201 / 242 >

この作品をシェア

pagetop