御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
なんの反応もできない私を、藤田さんが隅っこに連れて行こうと腕を組んで引っ張った。
なおも視線を逸らすことができないでいると、こちら側に顔を向けていたレイチェルが「あれ」という顔をして怜人に耳打ちをする。
さらさらした金髪が振り返り、涼しげな青い瞳が見開かれた。
「ヤバいですって、葉山さん。見すぎですよ。怒られるから早く行きましょう」
何も知らない藤田さんは、呆然としてその場を動けない私の肩を慌てて抱き、そのまま強引に立ち去ろうとする。
すると私に気づいた怜人が、足早にこちらに駆け寄ってきて、あっという間に私たちの前に立ちはだかった。
「あ、あの、すみません、僕ら、別になにも……」
必死で言い訳する藤田さんを一瞥し、怜人の厳しい眼差しが私に注がれる。
「理咲、これは一体どういうことですか」
「怜人こそ、レイチェルと……」
そう言いかけると、ゆっくりとこちらに歩み寄りながら、美しい笑顔を浮かべているレイチェルが視界に入る。