御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
怜人が私の手を取り、迷うことなく左手の薬指に指輪をはめた。
すんなり指になじんだ輝きに、一瞬言葉を失う。
「サイズ、ぴったりですね」
嬉しそうに微笑んだ怜人が、戸惑う私をそっと抱き寄せた。
怜人の体温が薄いレースのパジャマ越しに伝わって、それだけでまた体温が上がる。
こんな風にふたりきりの甘い時間を過ごすのは久しぶりで……。
抑え込んでいた想いが一気に溢れてしまいそうで、彼のパジャマの胸のあたりを、ぎゅっと掴むことしかできない。
「エンゲージリングは理咲が喜びそうなものを改めて買うつもりですが、貰ってもらえますか。僕の妻になる人が持つべきものなので……ちょっと重いとは思いますが」
今日見た田園風景と、この指輪の意味が重なる。
怜人と共に生きることは、さまざまなことを彼と一緒に背負うということだ。
とても大変なことだけれど……私の人生に怜人がいないことなどもう考えられない。
「あの……。私で良ければ、喜んで」
そうつぶやくと、ホッとしたため息とともに、さらにぎゅっと抱きしめられる。
「……嬉しい。それに、とても幸せです」
耳元でささやかれ、次の瞬間には唇がうなじに落ちてきて、忙しいキスの音が聴こえてくる。
柔らかな唇が与える刺激に、自然に息が漏れた。
胸に溢れてくるのは……歓び。
だって、ずっと彼に触れたくて、仕方なかったから。
「……理咲、ようやくあなたに触れられる。再会した日から今日まで、本当は気が狂いそうだった。……あなたが欲しくて」
そう言うと怜人は私を抱き上げ、ベッドまで運んでいく。
マットレスにそっと下ろされるとそのまま体を重ねられ、唇の表面をなぞるようなキスが何度も落とされた。
「このあいだ、一年ぶりにあなたをたくさん抱いて、それでまたおあずけにされて。どんな忍耐の試練だと神を恨みましたけど、今この瞬間で、すべて報われる」
「私も……。怜人に触れたかった。あなたに……抱いて欲しくて」