御曹司は身代わり秘書を溺愛しています

「妊娠……検査薬……?」


「そう!!あのね、可憐、なんだかちょっとおかしいなぁ、とは思ってたんだよ!?だけどまさかそれって気づかなくて、だけどさっき、アレーなんかひと月飛んじゃってる〜とか思って、マツキヨでこれ買って、やってみたらさ〜」


可憐、というのがこの人の名前だろうか?
そのあまりに高いテンションに、ちょっと腰が引けてしまいそうだけど……。
でもとにかく、この人の中には新しい命が宿っているんだ。


「おめでとうございます!!」


こんな幸福な場面に立ち会うのは、本当に久しぶりだ。
偶然出会った人とはいえ、なんだか嬉しい。
すると、彼女の方もとびきりの笑顔で、私の手を握ってゆさゆさと揺さぶった。


「でも、ちょっと面倒なことになっちゃったな……」


ひとしきり喜び合ったあと、可憐さんは急に憂鬱そうな顔をする。

初対面の相手にこう言っては失礼だが、彼女に似つかわしくない沈んだ様子に、おせっかいながら少し心配になる。


「何か心配事でもあるんですか?」


「うん……。実はさ、これから面接なんだ……。あ、面接っていっても、形式上のことなんだけどさ」


面接!?まさかこの人は、メール室の求人のライバルなのだろうか。


「あ〜、違う違う。私の仕事はさ……。ここのCEOの秘書だよ」

「えぇ!?」

「あ、今秘書っぽくないって思ったでしょ!?ひっどいな〜」


いきなり鋭い指摘をされ、おろおろとうろたえる私に、可憐さんはあっけらかんと「いいよいいよ、秘書なんてガラじゃないもん」と明るく答えてくれる。

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