御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「だからさぁ、ここのCEOとのお見合いを兼ねて、彼の秘書を三か月やるっていう話になってるんだって。あ、これはウチの親が言い出したことなんだけどね」
「で、でもどうして私が……」
「その三か月の間に、お互い結婚する意志があるかどうか確認して、嫌なら断っていいって話になってんの。まぁ、多分断られると思うんだよ?向こうはギリギリまで渋ってて、結局ヤバいコネ使ってウチの親がゴリ押しで取り付けた約束らしいし」
でもどうして私が?第一、そんな嘘をついて人を騙すなんて、私にはとてもできそうにない。
「可憐さん、そんな大芝居、私には絶対無理です。お力になれなくてごめんなさい」
「待って。その報酬に、お金を払うって言っても?」
私の腕をつかんでいた可憐さんの力が、急に強くなった。近づけられた顔は、美しいせいだけではない迫力がある。この人はもう、母親、なのだ。
「百万払うよ。例え途中でばれても、それは構わない。とにかく、時間稼ぎができればいい。一番良いのは三か月秘書をやって、向こうから断られるパターンだけど」
「百万……」
とても情けないけれど、少し心が動いた。
また二か月もすれば、陸の学費を支払わなければならない。
それにお父さんの入院費も、今のところ保険で賄えてはいるけれど、いつ手術ということになるか分からない。
……正直なところ、今の私にとって百万円は、喉から手が出るくらい欲しい金額だ。