御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
でもどんな理由があろうとも、可憐さんの中に芽生えた大切な命を見殺しにはできない。愛で包んで、大切に育くむべきだ。
そう結論づけると、私の中で一つの答えが生まれる。
「分かりました。……本当に三か月でいいんですね?」
「えっ?理咲ちゃん、私の代わりに、秘書、やってくれるの?」
濃いメイクの中で、唯一手を加えられていない可憐さんの瞳が、ゆるゆると潤む。
彼女、ずっと何かに似ていると思っていたけど、ようやく気づいた。今はお隣に預けている実家の愛犬、ドフィにそっくりなんだ。
「だけど、百万円は要りません。それに条件があります。それを可憐さんとCEOがのんで下さるなら、三か月間の身代わり秘書、お引き受けします」
縋るような目つきの可憐さんを、私はまっすぐに見つめた。
すらりとした女性に応接室に通され、すすめられたソファに座った。
目の前のティーカップには、きっと茶葉から入れたであろう紅茶が注がれ、優雅な香りを放っている。
私はひとり、英国企業『Teddy 's Company』日本支社の最高責任者を待っていた。
あのあとトイレで、手短に可憐さんと幾つかのことを確認しあった。
私が考えたシナリオはざっとこんな感じだ。