御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


やがて秘書室のメンバーが出社し、次いで怜人さまがCEO室に姿を現した。

朝の紅茶を入れたら、怜人さまは六車さんとスケジュールの打ち合わせ。今日は午前中に社内会議、昼食後は系列のホテルの視察と細かな予定が入っている。

六車さんがCEO室から出て行ってしまうと、そっと彼のそばに近づいた。


「怜人さま、昨日はどうもありがとうございました」


そうお礼を言うと、朝の光を取り込んだきれいな瞳が、優しく私を見つめる。


「こちらこそ、一緒に食事してくれてありがとう。とても楽しい時間でした」

「私も……とても楽しかったです」


そう答えると、怜人さまを取り巻く空気が、いっそう優しくなったのを感じる。


「そう。じゃ、これからも付き合ってください。六車さんの言うとおり、僕はひとりで食事するのが苦手なんです。ひとりなら、別に食べなくたっていい」


「そんな……。体に悪いです」


「それなら、可能な限りあなたが付き合って下さい。今日はこの後外出しますが、昼食はここであなたと一緒にとります。……いいですね?」


問いかけるような眼差しが、私の真意を計るように僅かに細められる。
彼にこんな風に見つめられて抗える女性がいるのかと、本気で思ってしまう。


「分かりました。お帰りをお待ちしています」


そう私が答えると、怜人さまはようやく屈託なく笑った。

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