御曹司は身代わり秘書を溺愛しています



包みを解いて、お弁当を並べる。私のおにぎりはふたつだが、イチゴ柄の方には三つ入っている。

怜人さまと食事したことは何度かあったけれど、いつもイタリアンやフレンチなど洋食が多く、おにぎりを食べている姿がどうしても思い浮かばない。

取り立ててたくさん食べる印象はなかったけれど、かといって外で食事をしたとき、お皿に何か残しているのを見たこともない。

おにぎりは何個だろう?とか、嫌いな野菜はないのかなとか。

色々考えてお弁当を詰めていた今朝の自分は、本当は体がうずうずしてしまうくらい幸せで、だからそんな風に怜人さまを思いながらお弁当を作れたことだけで十分だ。


「だけど、これどうしよう……」


いくらなんでも、お弁当をふたつ食べるなんて、私には無理だ。とそこへ、六車さんが書類をもって入ってきた。

ぼんやりしていた私に、訝しげな視線を向ける。


「理咲さん、今日は怜人さまとランチに行かれたのでは?」


「さっきレイチェルさんが来られて、おふたりでお食事に出られました。私はお弁当を持ってきていたので、失礼したんです」


安心させるようににっこり笑うと、六車さんはそのまま視線を私の手元に向ける。

そこにはふたつ並んだお弁当。

怜人さまに用意したことがバレたのでは!?と慌てる私に、六車さんはだまって優しい表情を向ける。


「あの……多く作りすぎちゃって……」

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