強引専務の身代わりフィアンセ
まだ交流会までは時間がある。私は音を立てないように寝室からブランケットを持ってきた。それを持ったまま忍び足で彼に近づく。
改めて見る一樹さんの寝顔に、自然と鼓動が速くなる。鋭い眼光を放つ漆黒の瞳は瞼の裏に隠れて、長い睫毛が影を作りそうだ。
どこか幼さの残る寝顔に私は軽く笑った。こうした無防備な姿の彼を見るのも、きっともうない。そっとブランケットをかけようとしたところで、条件反射のように腕を取られ、心臓が止まりそうになった。
「美和?」
うっすらと目を開けた一樹さんが、私の手首を掴んだまま呟いた。
「すみません。そのままだと風邪を引かれると思って。でも、まだ時間もありますし、休むなら、ちゃんと横になった方がいいですよ」
早口で捲し立てると、彼は目を細めたまま、腕を捕えたのと反対の手で私の髪先に触れた。
「髪、巻いてくれたんだな」
「こ、依頼者に言われたら、聞かないわけにはいきませんからね」
不意打ちの指摘に、私はついぶっきらぼうな言い方になった。彼は寝起きだからか、表情は幾分か柔らかくて、そのことがさらに私を動揺させる。
「そこは、素直に婚約者でいいんじゃないか?」
あまりにもさらっと訂正され、私は話を逸らすように言い放った。
「一樹さん、寝ぼけてます?」
「寝ぼけてる」
このやりとりは昨晩もした気がする。だから、同じように返そうと思ったところで、掴まれていた腕をそのまま彼の方に引かれた。そのままぎこちなく背中に腕を回され、彼はうつむき気味に私に頭を寄せる。
改めて見る一樹さんの寝顔に、自然と鼓動が速くなる。鋭い眼光を放つ漆黒の瞳は瞼の裏に隠れて、長い睫毛が影を作りそうだ。
どこか幼さの残る寝顔に私は軽く笑った。こうした無防備な姿の彼を見るのも、きっともうない。そっとブランケットをかけようとしたところで、条件反射のように腕を取られ、心臓が止まりそうになった。
「美和?」
うっすらと目を開けた一樹さんが、私の手首を掴んだまま呟いた。
「すみません。そのままだと風邪を引かれると思って。でも、まだ時間もありますし、休むなら、ちゃんと横になった方がいいですよ」
早口で捲し立てると、彼は目を細めたまま、腕を捕えたのと反対の手で私の髪先に触れた。
「髪、巻いてくれたんだな」
「こ、依頼者に言われたら、聞かないわけにはいきませんからね」
不意打ちの指摘に、私はついぶっきらぼうな言い方になった。彼は寝起きだからか、表情は幾分か柔らかくて、そのことがさらに私を動揺させる。
「そこは、素直に婚約者でいいんじゃないか?」
あまりにもさらっと訂正され、私は話を逸らすように言い放った。
「一樹さん、寝ぼけてます?」
「寝ぼけてる」
このやりとりは昨晩もした気がする。だから、同じように返そうと思ったところで、掴まれていた腕をそのまま彼の方に引かれた。そのままぎこちなく背中に腕を回され、彼はうつむき気味に私に頭を寄せる。