強引専務の身代わりフィアンセ
主催者や付き合いのある企業の関係者への挨拶などは昨日しておいたので、今日はあまり気負う必要はなかった。
ただ二回目とはいえ、この華やかな雰囲気は、あまりにも分不相応というか、場違い過ぎて、いるだけで気疲れしそうだ。
でも、それを顔には出さずに私は彼のそばに立っていた。幸泉夫妻とも、広い会場の中で再び出会い、静江さんは昨日とは違う着物を着ていたので、お互いの格好を褒め合ったりもした。
「あなた、昨日も素敵だったけれど、そっちの方がずっと似合ってるわ」
「ありがとうございます」
会話を楽しみながらも私は内心、焦っていた。一度きりならまだしも、静江さんと会うのは三回目になる。
いくら昨日は一樹さんがいたから、我々の存在を思い出したとはいえ、このままでは彼女に覚えられてしまうという危惧があったから。
この三日間で会った人たちには、彼の婚約者は、「鈴木」という名字の女性というだけ印象に残ってたらいいのに。
ただ、人間の記憶は曖昧だから、次に彼の隣に美弥さんがいて、鈴木と名乗れば、記憶を上塗りしてくれると思うんだけど。
一樹さんも思うところがあったのか、タイミングを見計らって会場の外に出ようと声をかけてきた。もちろん、異論はない。
昨日と同じように早めの退出だったが、今日は二回目ということもあるからか、とくに声をかけられることもなかった。
重厚なドアをスタッフが開けてくれてホールを出る。空気ががらりと変わり、私たちを待ち構えているたは静寂だった。
私は酸素を求めるように、無意識に深呼吸をする。華やかなお城を去ったシンデレラはこんな気持ちだったのかもしれない。けれど、私の隣にはまだ彼がいた。
ただ二回目とはいえ、この華やかな雰囲気は、あまりにも分不相応というか、場違い過ぎて、いるだけで気疲れしそうだ。
でも、それを顔には出さずに私は彼のそばに立っていた。幸泉夫妻とも、広い会場の中で再び出会い、静江さんは昨日とは違う着物を着ていたので、お互いの格好を褒め合ったりもした。
「あなた、昨日も素敵だったけれど、そっちの方がずっと似合ってるわ」
「ありがとうございます」
会話を楽しみながらも私は内心、焦っていた。一度きりならまだしも、静江さんと会うのは三回目になる。
いくら昨日は一樹さんがいたから、我々の存在を思い出したとはいえ、このままでは彼女に覚えられてしまうという危惧があったから。
この三日間で会った人たちには、彼の婚約者は、「鈴木」という名字の女性というだけ印象に残ってたらいいのに。
ただ、人間の記憶は曖昧だから、次に彼の隣に美弥さんがいて、鈴木と名乗れば、記憶を上塗りしてくれると思うんだけど。
一樹さんも思うところがあったのか、タイミングを見計らって会場の外に出ようと声をかけてきた。もちろん、異論はない。
昨日と同じように早めの退出だったが、今日は二回目ということもあるからか、とくに声をかけられることもなかった。
重厚なドアをスタッフが開けてくれてホールを出る。空気ががらりと変わり、私たちを待ち構えているたは静寂だった。
私は酸素を求めるように、無意識に深呼吸をする。華やかなお城を去ったシンデレラはこんな気持ちだったのかもしれない。けれど、私の隣にはまだ彼がいた。