強引専務の身代わりフィアンセ
「ご心配なく! 専務の婚約者役として中嶋さんに会ったわけですから、そこは突き通します。なにかしらフォローは必要かと思いますが、それはこちらで対処します。もちろん、今回のことは誰にも口外しませんし、もしなにか言ってくるようなら、中嶋さんにも」
前触れもなく、説明の途中で一樹さんが私の腕を掴んで自分の方に引き寄せた。おかげで言葉が続けられない。彼の顔はいつになく険しかった。
「そういうことじゃない。美和は仕事だったらまた、こういった婚約者役を引き受けるのか?」
「それは……」
仮に中嶋さんが依頼してきたとしても、今回の件もあるし、私は引き受けるつもりはない。でも、中嶋さんじゃなかったら? ほかの人だとしても、私はきっと……。
「っ、専務には、関係ありませんよ」
居た堪れなさで私は突っぱねた言い方をする。そして顔を下に向けて、自分を落ち着かせようと必死だった。
八つ当たりまがいのことをして、彼に心配をかけて。心配なのは彼の方だ。美弥さんの代わりとして、こんな大きなミスをするなんて。
せっかく、代わりだとしても彼の婚約者として、役に立てたと思ったのに。必要としてもらえたのに。……私は代わりさえもできないなんて。
張りつめていたなにかが、ぷつんと音を立てて切れた。次の瞬間、瞬きしないように目に力を入れていたけど、みるみるうちに涙の膜で視界が歪む。やがて、上質な絨毯に水滴が落ちた。
「ごめん、なさい。ごめ……っ」
涙と共に自然と謝罪の言葉が衝いて出る。違う、こういうときにすべきなのは、冷静に今後の対応について彼と話をすることだ。
こんな感情任せな、まして依頼者の前で泣くなんてありえない。イレギュラーなことやトラブルは今までもあった。それなのに。
前触れもなく、説明の途中で一樹さんが私の腕を掴んで自分の方に引き寄せた。おかげで言葉が続けられない。彼の顔はいつになく険しかった。
「そういうことじゃない。美和は仕事だったらまた、こういった婚約者役を引き受けるのか?」
「それは……」
仮に中嶋さんが依頼してきたとしても、今回の件もあるし、私は引き受けるつもりはない。でも、中嶋さんじゃなかったら? ほかの人だとしても、私はきっと……。
「っ、専務には、関係ありませんよ」
居た堪れなさで私は突っぱねた言い方をする。そして顔を下に向けて、自分を落ち着かせようと必死だった。
八つ当たりまがいのことをして、彼に心配をかけて。心配なのは彼の方だ。美弥さんの代わりとして、こんな大きなミスをするなんて。
せっかく、代わりだとしても彼の婚約者として、役に立てたと思ったのに。必要としてもらえたのに。……私は代わりさえもできないなんて。
張りつめていたなにかが、ぷつんと音を立てて切れた。次の瞬間、瞬きしないように目に力を入れていたけど、みるみるうちに涙の膜で視界が歪む。やがて、上質な絨毯に水滴が落ちた。
「ごめん、なさい。ごめ……っ」
涙と共に自然と謝罪の言葉が衝いて出る。違う、こういうときにすべきなのは、冷静に今後の対応について彼と話をすることだ。
こんな感情任せな、まして依頼者の前で泣くなんてありえない。イレギュラーなことやトラブルは今までもあった。それなのに。