強引専務の身代わりフィアンセ
「あまりにも幸せそうな顔をしてティエルナの商品をずっと見ているから、思わず目を引いたんだ」

「あ、あれはですね」

「仕事で、だったんだろ。でも関係ない。正直、落ち込んだよ。俺は自分の、Im.Merの商品で、あんな顔をさせることはできないって。おかげでどこの誰かもわからないのに、イベントが終わってからも、ずっと美和のことが頭から離れなかった」

 まさか、彼に見られていたなんて思いもよらなくて、私は恥ずかしくなった。しかも、あのときは、まさにIm.Merのアクセサリーを想像していたのだから。

 そのことを伝えようか迷ったところで、一樹さんは不敵な笑みを浮かべた。

「でも俺は、引きの良さは持ち合わせているらしい。会社の歓迎会で美和を見つけたときは驚いた」

「けど、あのときは全然違う格好でしたよ!?」

 驚いたのはこちらだ。イベントに参加したときはほぼ真逆で、あえて地味な格好をして、眼鏡もかけていたし。元々、そんなに印象に残るタイプでも、目を引くライプでもない。

 一樹さんは困ったような笑いを浮かべる。否定しきれないんだろうな。

「たしかに、最初は目を疑ったし、確証もなかった。ティエルナの大ファンだと思っていたら、契約とはいえ、うちに入社しているし。なのに美和はMILDやIm.Merの商品を見たって、笑うどころか、どこか興味なさそうだっただろ。アクセサリー全般が好きなのかと思って尋ねたら、そうではないみたいで、正直わけがわからなかったよ」

 それから私がIm.Merの商品について淀みなく語るので、ますます混乱したそうだ。一樹さんとのやりとりを思い出す。ただの気まぐれで話しかけられたのかと思えば、そんな裏事情があったなんて。

 複雑な思いを抱く私をなだめるかのように、彼は私を腕の中にすっぽりと収めた。穏やかな声と温もりに包まれる。
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