強引専務の身代わりフィアンセ
「とりあえずここは引き上げよう。美和も疲れているだろうけど、俺も事務所に顔を出すから」
余韻に浸る私に、一樹さんが冷静にこれからのことを話すので、すぐに現実に引き戻される。
「あ、いえ。あとの事務処理や報告は私がしますし、事務所まで顔を出していただかなくてもかまいませんよ」
疲れているのは彼の方だ。しかし一樹さんはなぜだか、少しだけむっとした表情になった。
「そうじゃなくて、結婚の報告と挨拶をご両親にもしておかないとならないだろ」
あまりの予想外の切り返しに、私の思考は一時停止する。動揺が体中に広がったところで、それを発散するような声のボリュームになってしまった。
「今すぐですか!? そんな急がなくても」
「もう指輪ははずさないんだろ? ご両親になんて言うんだ?」
「それとこれとは……」
別の話だと思うんだけど。まさかの展開に目眩を起しそうな私に一樹さんは涼しい顔で軽く唇を重ねてきた。
「もう逃がさない。やっと見つけて捕まえたんだから。それに思う存分甘やかしてやるって言ったはずだ」
顔を赤らめて、しばし口ごもる。ああ、もう、ずるい。私は雑念を振り払い、彼としっかり目を合わせた。
「一樹さん、真面目な話なんですが、今回の仕事の件、料金をいただくわけにはいきません」
急な仕事話に、彼はわずかに目を丸くした。でも、私は口調を崩さずに続ける。
「中嶋さんのこともありますし、随分と私情を挟んでしまいましたから」
個人的には結果オーライだったのかもしれない。けれどエキストラとして見れば、お金をもらえるような成果は残せていない。
「そういうわけにもいかないだろ。美和には迷惑もかけたし」
「いいんです」
一樹さんの言葉に、私は力強く言葉を重ねた。心臓が音を立て、唇の震えを止めるために力を入れて噛みしめた。
余韻に浸る私に、一樹さんが冷静にこれからのことを話すので、すぐに現実に引き戻される。
「あ、いえ。あとの事務処理や報告は私がしますし、事務所まで顔を出していただかなくてもかまいませんよ」
疲れているのは彼の方だ。しかし一樹さんはなぜだか、少しだけむっとした表情になった。
「そうじゃなくて、結婚の報告と挨拶をご両親にもしておかないとならないだろ」
あまりの予想外の切り返しに、私の思考は一時停止する。動揺が体中に広がったところで、それを発散するような声のボリュームになってしまった。
「今すぐですか!? そんな急がなくても」
「もう指輪ははずさないんだろ? ご両親になんて言うんだ?」
「それとこれとは……」
別の話だと思うんだけど。まさかの展開に目眩を起しそうな私に一樹さんは涼しい顔で軽く唇を重ねてきた。
「もう逃がさない。やっと見つけて捕まえたんだから。それに思う存分甘やかしてやるって言ったはずだ」
顔を赤らめて、しばし口ごもる。ああ、もう、ずるい。私は雑念を振り払い、彼としっかり目を合わせた。
「一樹さん、真面目な話なんですが、今回の仕事の件、料金をいただくわけにはいきません」
急な仕事話に、彼はわずかに目を丸くした。でも、私は口調を崩さずに続ける。
「中嶋さんのこともありますし、随分と私情を挟んでしまいましたから」
個人的には結果オーライだったのかもしれない。けれどエキストラとして見れば、お金をもらえるような成果は残せていない。
「そういうわけにもいかないだろ。美和には迷惑もかけたし」
「いいんです」
一樹さんの言葉に、私は力強く言葉を重ねた。心臓が音を立て、唇の震えを止めるために力を入れて噛みしめた。