強引専務の身代わりフィアンセ
 ホテルに滞在した二日目の夜、一応心配をかけた手前、彼女がシャワーを浴びている間に、俺は幹弥に報告がてら連絡を取った。

『どう? 美和ちゃんと上手くいった? 仲直りした?』

『……一応』

 それから、明日美弥を連れて会いに来る、という話を告げられる。なにもこのタイミングで、とも思ったが、美弥も忙しく、この機会を逃すのも躊躇われた。

 改めてふたりで会うこともないし、逆に幹弥も一緒なら、傍から見ても妙な誤解を受けることもないだろう。

 そこで俺は自然と今の現状について言葉が漏れた。

『俺はお前が理解できないよ』

『なに急に?』

 幹弥の怪訝な声に、俺は軽くため息をつく。

『片思いなんて、なにが楽しいんだ? 少なくとも俺はもう終わらせたい』

 片思いなんてしたこともない。こんなにも欲しいのに、手に入らないもどかしさに気持ちが落ち着かない。彼女にすべて本当のことを話してしまいたくなる。

 けれど、彼女は今、俺の依頼を、仕事をまっとうしようとしている。そんな彼女の気持ちを、自分の都合で踏みにじるわけにはいかなかった。

 そんな俺の揺れる気持ちを見越してか、幹弥から厳しい声が飛ぶ。
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