ハッピークライシス


「出てこい、青薔薇!!」



ガサ、と葉が擦れる音に向けて、シホは反射的にトリガーを引く。
静かに距離を詰めるも、そこには誰もいない。


「シホにその名前で呼ばれるのは、好きじゃないな」

「…ッ」


ハッとして、振り向きざまに銃を向けた。
流麗な動きで、ユエはシホの手首を弾き、素早く身を低めて鳩尾に肘を入れる。口元に緩やかな笑みを浮かべるユエと目が合った。

すぐに背後へと飛びのき、銃を構えるも、全ての動作においてユエは速い。

自身に向けられた銃口に臆することなく、一瞬にして間合いを詰めてくる。

トリガーを引いた指が、淡く痺れた。
真正面のユエを撃ちぬくはずのそれは、動揺を抑え切れずにまったく方向を違えた場所を撃った。

ユエは、後ろからシホの首に腕を回し、躊躇いなく締め上げる。

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