ハッピークライシス
「ああ。俺には、無理だ」
「…うん」
「……家族になりたかった。でも、やっぱり難しい。俺はこんなだから、全然うまくいかない。信用がないんだよ」
そこまで話して、ハッとする。
よく知りもしないガキ相手に、何を話しているのだ。ユエは誤魔化すように傍にあったウォッカを煽る。
「なに言ってるのか。馬鹿らしいし、くだらないな」
「…やっぱり、ユエは嘘つきね」
少女がまるでひとり言のように呟いた。
「何が」
「くだらなくなんて、ない。だって、ずっと痛そうな顔をしてるもん」
少女の言葉に、ユエは一瞬目を見開く。
透き通ったエメラルドグリーンの瞳に映る自分を探るように見つめた。