ハッピークライシス



吊るされた巨大なベネチアンガラスのシャンデリア。

光を反射し、きらきらひかるその下では、フェデリコに招待された政治家、資産家、さらにはモデルや歌手等の各界の著名人達が着飾り、グラスを片手に談笑していた。

オーケストラの生演奏が静かにバックミュージックとして流れるのを聴きながら、壁際に立ってワインに口をつける。

ユエには、今日この誕生会に訪れたシンシアの目的が分かっていた。

大秘密結社コーサ・ノストラ・レヴェンは、人間関係を含めたフィリップ=フェデリコの情報を得たがっているのだ。近日中にフェデリコは消される。恐らくは、彼の掲げるマフィア撲滅の為の法案提出がその理由のひとつだろう。

シンシア扮するジェイドなる人物が、その整った容姿を存分に利用して、様々な人間とコンタクトをとっているのをそれとなしに目で追っていた。

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