ハッピークライシス
「凄い仕掛けですね…」
階段を降り、扉の錠を先程と同じ要領で開け放たれたとき、ユエは思わず目を見開いていた。
「フィリップは秘密と宝モノを全部、この部屋に隠す。私にでも、ダイヤモンドの美しさは理解出来るわ」
イエローライトで眩く照らされた大きな部屋。
大理石の床に一歩足を踏み入れたそこには、大粒のダイヤモンドで作られたシャンデリアがきらきらと輝く。周囲には、芸術的な品々、歴史あるものたちが所狭しと置かれていた。
「…祝福は?」
リサはにこりと微笑んで、淡いローズに彩られた爪をユエの首元にかけ、そっとネクタイを解き床に落とした。
「ロゼ様。祝福は、最後にお贈りしますわ」
強請るように身体を擦り付けるリサの腰に、ユエは無表情のままゆっくりと腕を回した。