ハッピークライシス

腰まで伸びた亜麻色の髪、エメラルドグリーンの瞳。可愛らしい子供だとは思うが、平凡な容姿で、名画と交換出来る程の"祝福"を与えるのが彼女だというのには首を傾げてしまう。


「僕はロゼ。可愛い子、君の名前は?」

「……」

「(…無視かよ!)」


相変わらず酒を片手に、くすくすと笑いを漏らすリサ。


「話し掛けても無駄ですよ。ソレに名はない。喋ることも出来ません」

「耳が聞こえないということですか」

「いいえ、喋り方を知らないの。話すことを一切"禁じられている"から」


リサは事も無げに言った。
膝を曲げ少女と視線を重ね、そしてゆっくりと語り掛ける。
< 38 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop