ハッピークライシス
腰まで伸びた亜麻色の髪、エメラルドグリーンの瞳。可愛らしい子供だとは思うが、平凡な容姿で、名画と交換出来る程の"祝福"を与えるのが彼女だというのには首を傾げてしまう。
「僕はロゼ。可愛い子、君の名前は?」
「……」
「(…無視かよ!)」
相変わらず酒を片手に、くすくすと笑いを漏らすリサ。
「話し掛けても無駄ですよ。ソレに名はない。喋ることも出来ません」
「耳が聞こえないということですか」
「いいえ、喋り方を知らないの。話すことを一切"禁じられている"から」
リサは事も無げに言った。
膝を曲げ少女と視線を重ね、そしてゆっくりと語り掛ける。