ハッピークライシス
「何か思い出したのなら隠さずに言って欲しい」
シンシアは、その青い瞳にしっかりとユエを映して言う。彼は無駄なことはしない主義だ。よほどの事情があるに違いない。
それを知らずして、ただ質問に答えるだけではつまらない。そう考えたユエはただ笑みを浮かべるだけで口を開こうとしなかった。
「当初俺達は、フィリップ=フェデリコを消すつもりで動いていた」
「知ってる。シホを雇ったのはお前だろう。相変わらず、彼女に甘い」
「……俺は彼女の腕を知っていた。一人のヒットマンとして信用して依頼しただけだ」
仕方なく理由を語り始めたシンシアは、嫌そうに眉を寄せながら吐き捨てる。
大方の事情は、ユエが予想した通りだった。彼が掲げた法案が、とにかくレヴェンには不利に働く。それは一種の牽制である。