ハッピークライシス
■
シンシアの考え通り、かの名画家、テンペランス=ジュールの最盛期の作品である『メテオラの乙女』を取引に持ちかけると、フィリップはすぐに食いついてきた。
話を出したのが、身元がはっきりとしている同職の議員ということもあり信頼性も充分であったことも理由のひとつだろう。
盗品を所持していたというからには、相手にもそれなりに裏と通ずる何かがあることは明白だが、フィリップにとってそれは都合のいいものでしかない。自身とて、清廉潔白ではない。条件としてはフィフティ・フィフティだ。いざとなれば、真実を暴き逆に弱みとして握りこんでしまえばいいと考えたのだろう。
『フィリップ=フェデリコの持つ秘密を暴け。レヴェンに害なす存在であれば、確実に消せ』
相変わらず無茶な、ボスのお達しだ。