ハッピークライシス
「…地下駐車場42番で待っています。取引が終わったら連絡をください」
「了解だよ、うまくやるさ。イオハルト」
20歳近く年下のシンシアに対し、男は小型カメラが埋め込まれた議員バッチを胸元につけながらニコリと笑った。
今回、シンシアとペアを組むことになった男の名前は、セオ=カルタと言った。
やり手の若手議員として政(まつりごと)を行う彼は、元々スラム出身の子供だった。劣悪な環境のなかで、生き残る手段として同じような境遇の不良仲間で組織をつくり、あちこちで強盗紛いの悪事を働いていたところをコーサ・ノストラ・レヴェンに捕らえられたのだ。
先代のボスは、齢15にして癖のあるならず者達を纏める統率力と、犯行時の綿密に練られた計画に酷く感心し、レヴェンへの入会を誘った。
残念ながら、銃器の扱いや戦闘術に関しては才能がほぼゼロに近かったが、頭脳派として諜報され、潜入を兼ねてファミリーから政界へと踏み入れた。