ハッピークライシス
Guilty B Roses、
通称、『青薔薇』
ユエ=ハネンフースは、初めての仕事で盗んだ『青い薔薇』に因んで、世間からそう呼ばれていた。
名画等の美術品を始め、骨董や宝石、時には情報、値すらつけられない貴重な品々が忽然と姿を消す事件が多発していた。
手法に共通点はなく、人が多数犠牲になることもあれば、セキュリティの張り巡らされた場所から、目当てのモノだけが奪われていたこともあった。
犯行はあれど、手がかりは一切無い。
どんな状況下においても、狙った獲物は確実に奪う。
姿の見えない犯人に対して、世間は名前という服を着せ、なんとか実体化しようとしたのだ。